2026/07/19 08:46

稀代のクソ法案であろう国旗損壊罪が可決されました。何が罪に問われるのか明確で無い、更には違憲であると言われる中。これは表現の自由を毀損する事は間違いない。法によって脅しをかけてきた、恐怖を使用しての統治が顔をハッキリだしてきた。そして余り言及されないけど、次世代にとってはこのクソ法案が当たり前に存在する社会になるわけで、自民党はこの辺りの「教育」をよく考えてると思います。しつけ、ですよね。


又、皇室典範や個人情報保護法案も改正された。国家情報局の設置も可決。国民投票法改正も進められている。ものすごいスピードです。よくトランプを模倣している、と言われますが個人的にはやはりナチやヒトラーの「暴力的なダイナミズム」を彷彿とさせます。


社会の側の抵抗もすごい。特に若い人達。アイデア、行動力、繋がる力、どれも尊敬します。自分も頑張ろうと思う。


しかし、自分の場所から見えるカルチャーの領域の風景の事も後の世代の為にやはり記しておきたい。声を上げる人は僅かに存在が確認できるものの、基本的にはこれまで通り何も起こっていない。私は40代なので当然その辺り…40〜50代くらいのローカル音楽家のフィルターバブルにもいるわけですが、本当に「平和な物語」が語られ続けている。子持ちなんかも少なく無いんですがね。現在の政治状況を知らない筈もないと思いますが。


高市が「憲法改正の時は来た」と言うのもある意味そうかもな、と思います。戦後、ここまで脱・政治化した「大人」が社会の意思決定層を占めた事は無いのでは。


でも希望を捨てたらいかんいかん、と念仏の様に唱えてブログでも書こうと思います。今回も本の紹介。


「歴史修正主義とサブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化」倉橋耕平



よく言われる事ですが、90年代後半は現在の社会状況に繋がる大きな動きがあった時代です。個人的には小学生〜高校生くらいに当たります。その時代のサブカルチャー、特に雑誌メディアでの極右言説の広がりについての研究の本です(タイトルは保守言説、となっていますが歴史修正/否認は保守でなく極右言説だと思います) 。一般的にインターネット以降の動きは見えやすいが、それ以前の雑誌メディアを主軸にしての研究は珍しく貴重であると思います。


ネトウヨや極右政治家がしばしば口にする、歴史否認(例えば従軍慰安婦(日本軍性奴隷)、南京虐殺、関東大震災での朝鮮人虐殺、沖縄戦など)。SNS上での彼らとのやり取りを見ても、自分がしてみても会話が成り立ちません。歴史修正主義者は学術とは別の知の枠組みに則ったゲームをしているのでは無いか(例えとして引用されたピエール・ヴィダル=ナケの「天文学者は星占い師と討論するか」は非常に的確だと思った)。


その知の枠組みが「どこで」作られていったか。そこはサブカルチャー(この本では主に雑誌メディア)である…、が丁寧に研究されており読み応えがありました。勿論、小林よしのりなどへの言及にも項が割かれています。


この本から、現在のファシズム的な状況の裏に文化的な戦いが存在しており、それは極右の圧倒的優勢になっているのだろうと思いました。個人的に興味深いのは、極右は「自由主義史観」の様に、これまでの学術的成果に「自由」の名において反撃している所です。


又、小林よしのりの「我々で結論を出そう!」と言う言葉も印象的でした。これも学術的成果を相対化し、アマチュアリズムによって戦後リベラル勢力に抵抗しようとする姿勢に感じました。この時代を嚆矢として、学術などに対して学術と異なるサブカルチャーの領域からのカウンター/反抗が起こっていた事が伺えます。


そしてこの本にも「相対化」と言う言葉が登場します。ネトウヨなどの歴史否認者は、つまる所「相対化」を目的としている。学術的正しさの奪い合いと言うより、相対化それ自体を行っているのだろうと思いました。学術は置いといて、それぞれ意見がある…と社会に思わせる事自体が目的と言うか。


個人的な関心事と絡めるなら、サブカルチャーは「サブカル」としてこの後更に社会を侵食していったと思います(因みに今の所の自分の整理としては、サブカルとは「物語への参加型消費行動」によって繋がった緩い共同体だと思います)。


そしてそれは「相対化」の価値観…全ては等価であるという過激思想が社会に広く流布される結果になったのではないでしょうか。勿論そこには音楽カルチャーの領域も関わっているでしょう。寧ろ、その様な過激思想を流布するのに音楽(ジャンルは関係ない)や音楽周辺の言語がもつPOPさは非常に貢献してきた事だろう、と思います。


そこを振り返らずにカルチャーを生産し続ける事は、ファシズムに与する営みでは無いのだろうか…と悩みながらも表現活動を続けています。続けていこうと思います。


次回も本の紹介にします。CD発売中。